患者さんが安全で快適に手術を受けられるように麻酔管理をサポートするのが仕事
麻酔管理を安全に実践できる周麻酔期看護師は、麻酔科医の業務負担軽減を担う一手として誕生し、麻酔前、麻酔中、麻酔後のケアを専門的に行う職種です。麻酔科医との連携はもちろん、他の看護師や他職種と連携することも多いためコミュニケーション能力が必須です。
周麻酔期看護師は国家資格や看護協会が認定する資格ではありませんが、教育カリキュラムを持つ各大学で学ばなければ取得できません。2011年に聖路加国際看護大学が周麻酔期看護師養成講座を開設したのを皮切りに、現在は6つの大学院で同じ課程が設置されています。それらの大学院の教育課程を卒業することで資格を取得することができるのです。そのため、周麻酔期看護師として働きたいなら大学院に進学し、必要な教育課程を学ぶことが必須条件となっています。
大学院に入学するための基本条件は、学士を保有し、手術室などの急性期医療現場での臨床経験が3年以上ある、の2つです。
周麻酔期看護師を取得できる大学院は全国に6カ所あります。国立は「信州大学大学院」と「滋賀医科大学」、公立は「横浜市立大学」と「奈良県立医科大学」、私立は「聖路加国際大学」と「国際医療福祉大学」です。それぞれの大学によって入学要件が異なるので事前に確認しておきましょう。
大学院ではより専門性の高い医療を提供するために、周術期(手術中およびその前後の期間)に特化した訓練を行っています。具体的には、手術前の問診、麻酔についての説明、手術後の麻酔の診察サポートなどを行う「周術期の外来診療」、手術後の痛みや合併症の診察と対応をする「術後麻酔ラウンド」、 全身麻酔後に特殊な器具を用いて挿管チューブを挿入し、患者さんの呼吸をサポートする「気管挿管」、 全身麻酔の際に必ず必要となる点滴を注入する「末梢静脈路確保」、血圧を継続的に測定し、動脈から採血をするために全身麻酔後に動脈に点滴を入れる「橈骨動脈確保」、麻酔中の血圧を一定に保つために血圧を上げる薬、下げる薬、麻酔薬などを投与する「麻酔薬、循環作動薬などの投与」、 挿管した気管チューブを手術後に抜去する「抜管」、医師が挿入した硬膜外カテーテルから薬剤を投与する「硬膜外からの薬の投与」、「麻酔中の血圧、酸素飽和度などのモニタリング」、「中心静脈路確保や肺動脈カテーテル挿入」、気管支鏡などのサポート」などです。
周術期管理を良好なものにするためには麻酔科医や他科看護師との連携が必要ですが、知識がなければお互いに理解することはできません。以下の書籍は麻酔の基礎や周術期管理についてわかりやすく説明していますので、ぜひ一読してみてください。